催眠療法のセッションで、私はイデオモーターという技法を使っています。
クライエントさまに催眠状態に入っていただき、指の動きを使って「はい」「いいえ」「わかりません」などの意思を表現していただく方法です。
初めて体験される方にとっては、少し不思議に感じられるかもしれません。
自分で動かそうとしているわけではないのに、指が動く。
その体験に驚かれる方もいらっしゃいます。
では、セッションを重ねていくと、この指反応は変わるのでしょうか。
私がこれまでセッションを行ってきた中では、変わることがあります。
しかも、変わるのは指の動きだけではないようです。
最初の反応は、人それぞれ
初めてイデオモーターを体験されるとき、指が動き始めるまでに時間がかかる方がいらっしゃいます。
動いているのかどうかわからないくらい、わずかな反応の方もいらっしゃいます。
途中で反応が止まることもあります。
一方で、初回から比較的スムーズに動く方もいらっしゃいます。
本当に、人それぞれです。
指が動くかどうかを気にしていると、かえって動かそうという意識が強くなることもあるのかもしれません。
「動かさなくては」
「これで合っているのだろうか」
そんなふうに考えてしまうのも、初めての体験なら自然なことだと思います。
私は、指がすぐに動かないことを、悪いことだとは考えていません。
指の動きには個人差がありますし、その日の状態によっても違います。
反応を急がせず、クライエントさまが安心して体験できることを大切にしています。
指の動きが、少しずつ変わっていく
セッションを重ねると、指の動きがスムーズになる傾向を感じています。
動き始めるまでが早くなったり、反応がはっきりしてきたり。
クライエントさまご自身も、指を動かそうとすることを、あまり意識しなくなっていくようです。
これは、催眠状態を体験することに慣れていく、という側面もあるのではないかと思っています。
初めて訪れる場所では緊張していても、何度か通ううちに落ち着いて過ごせるようになる。
それと少し似ているのかもしれません。
セラピストとの信頼関係が育ち、催眠状態で過ごすことにも慣れ、ご自身の内側に意識を向けやすくなる。
回数を重ねる中で、そうした体験の仕方を少しずつ学習していくのではないでしょうか。
ただ、指が速く、大きく動くほど催眠が深い、という単純なものではありません。
私が見ているのは、指の動きだけではなく、クライエントさまがどのようにセッションを体験していらっしゃるか、ということです。
指だけではなく、身体の別の部分が動くことも
イデオモーターというと、指を使うものだと思われるかもしれません。
私のセッションでも、基本的には指反応を使っています。
でも、ときには指以外の部分が動き始めることがあります。
瞼や手首、足首などです。
指と別の部分を使い分けているように感じられることもありますし、指は動かず、別の部分にだけ反応が現れることもあります。
また、指の動きそのものが多彩になることもあります。
上下に動くだけではなく、円を描くように動いたり、左右に強く動いたり。
見ている私には、何かに戸惑っているように感じられたり、強く否定しているように見えたりすることもあります。
もちろん、動きの形だけで、その意味が決まるわけではありません。
私が「否定しているように見える」と感じたとしても、それが本当に何を表しているのかは、丁寧に確認する必要があります。
だからこそ、私は反応を一方的に解釈するのではなく、クライエントさまの体験に合わせて進めることを心がけています。
守護霊や過去生によって、反応が違うと感じることも
私のセッションでは、守護霊や過去生の人格との対話を目的とすることがあります。
その際、対話の対象としている存在によって、指の動きが違うと感じられることがあります。
守護霊との対話では、ある動き方をする。
過去生の人格との対話では、また違う動き方をする。
まるで、それぞれが「自分は別の人格だ」と表現しているように感じることもあるのです。
これは、私がセッションの中で受け取っている印象です。
指の動きだけで、守護霊や過去生の人格が独立した存在として実在することを証明できるわけではありません。
ただ、クライエントさまにとっては、その違いが、ご自身の内側で起きている体験を受け取るきっかけになることがあります。
私は、そうした体験がクライエントさまにとってどのような意味を持つのかを、大切にしたいと思っています。
指ではなく、言葉で答えるようになることもある
もう一つ、興味深い変化があります。
それまで指で答えていた方が、セッションを重ねるうちに、口頭で答えてくださるようになることがあるのです。
「はい」
「いいえ」
「わかりません」
そうした短い言葉で答える方もいらっしゃいます。
守護霊や過去生の人格として、言葉で話してくださる方もいらっしゃいます。
反対に、話そうとすると催眠状態への集中が途切れるように感じるため、言葉では話さなくなる方もいらっしゃいます。
指が動くことが、その方にとって自然な表現方法なのかもしれません。
言葉で話すほうが自然な方もいらっしゃるでしょう。
どちらが優れているということではないと思っています。
大切なのは、クライエントさまが無理なく、ご自身の内側で起きていることに意識を向けられるかどうかです。
反応が止まったときにも、意味があるのだろうか
セッション中に、それまで動いていた指が止まることもあります。
そんなとき、私は無理に反応を引き出そうとはしません。
質問がわかりにくかったのかもしれません。
今は答えがわからないのかもしれません。
答えたくない、あるいは今は答えられないと感じている可能性もあります。
もちろん、疲れや集中の変化など、別の理由も考えられます。
指が止まったからといって、何か特別な意味があると決めつけることはできません。
私は質問の仕方を見直したり、必要であれば少し間を置いたりしながら、クライエントさまの負担にならないように進めています。
反応があることだけを求めてしまうと、目の前で起きていることを見失ってしまう気がするのです。
イデオモーターは、無意識へのアクセスツール
私がイデオモーターを大切にしている理由は、指が動くことそのものではありません。
その瞬間に、クライエントさまの意識の向け方が変わっているように感じるからです。
普段、私たちは何かを聞かれると、頭で考えて答えようとします。
正しい答えは何だろう。
どう説明したらよいだろう。
相手はどう受け取るだろう。
でも、指反応を使っているときには、そうした考えをいったん脇に置いて、ご自身の内側で起きていることを感じていただける場合があります。
私は、そこにイデオモーターの面白さがあると思っています。
現代催眠に大きな影響を与えたミルトン・エリクソンは、無意識にある資源や可能性を重視していました。
私も、無意識を、単に自分では気づいていないものがしまわれている場所とは考えていません。
自分自身について知るための、大切な手がかりがあるのではないかと思っています。
少しIT的な言い方をしてみましょう。
無意識がOSやバックグラウンドサービスのようなものだとしたら、イデオモーターは、普段は直接意識していない働きにアクセスするためのツールのようなもの。
もちろん、これは私なりのたとえです。
でも、ITの仕事にも携わっている私には、しっくりくる表現なのです。
普段は意識していなくても、私たちの内側では、さまざまな働きが続いている。
指が動くという体験は、そのことを実感する入り口になるのかもしれません。
指が動いた、その先にあるもの
セッションを重ねる中で、指の反応が変わることがあります。
身体の別の部分が動くこともあれば、言葉で答えるようになることもあります。
でも、私は、反応の種類が増えることや、指がスムーズに動くことを、セッションの目的にはしていません。
指が動いたとき、クライエントさまは、ご自身の中に普段とは違う反応が起きていることを体験します。
「自分の中に、こんな働きがあるんだ」
そう感じることが、ご自身の無意識に関心を向け、体験を信頼していくきっかけになるのではないでしょうか。
私が大切にしたいのは、そこです。
指が動くことよりも、その体験を通して、ご自身の内側に何を感じ、何に気づいていくのか。
セッションを重ねる中で変わっていくのは、指の反応だけではないのかもしれません。
ご自身の無意識との付き合い方も、少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
Shiva(しば)
守護霊について、順番に理解したい方へ
守護霊とは何か、サイン、無意識との関係まで、
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