こんにちは。γ波催眠療法の施術と指導を行っているShiva(しば)です。
前回は、ジュリアン・ジェインズの「二分心」という仮説をご紹介しました。
かつて人は、内側に響く声を神の命令として受け取っていた――
そんな、心の歴史に揺さぶりをかける大胆な視点でした。
では、その声が静まったとされる現代。
私たちの心は、どのように働いているのでしょうか。
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その手がかりのひとつが、「催眠」という意識の状態にあります。
催眠に入ると、ときに不思議なことが起こります。
自分で考えたはずなのに、どこか「降りてきた」ように感じる言葉、
まるで誰かが自分を通して語っているような感覚。
戸惑いながらも、懐かしいような、そんな体験をされる方は少なくありません。
これを心理学や脳科学の視点から見ると、いくつかの説明が可能です。
・前頭前野の働き
私たちは普段、自分の思考や行動を絶えずチェックしています。
催眠ではその監視がやわらぎ、背景にあった内的な対話が、そっと前に出てきます。
・「解離」と呼ばれる現象
思考を生み出す働きと、「それは自分の考えだ」と感じる働きが一時的に分かれることで、同じ心の活動が“他者の声”のように体験されることがあります。
・デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
ぼんやりしているときや内省しているときに活発になる脳内ネットワークです。
催眠下ではこの働き方が変化し、「自己」の枠がゆるみやすくなることが示唆されています。
こうした知見は、体験を冷静に支える大事な土台です。
でも、催眠体験にはそれだけで語りきれない瞬間があるのも事実なんです。
セッションの中で立ち上がる言葉が、その人の人生にとってあまりにも核心を突いていることがあります。
自分が想像しえないストーリーや、理屈を超えて「もう大丈夫」と伝えてくるような感覚など――
深い催眠の中で「自分を許していい」と感じたクライアント様は、その感覚は思考の結論というより、ずっと奥から湧きあがった確信だったと教えてくださいました。
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そして、とても特別な瞬間に立ち会うこともあります。
クライアント様が、自分の言葉というよりも、どこか大きな存在から届いたかのようなメッセージを語られることがあるのです。
それを「神のメッセージ」と表現される方もいらっしゃいます。
γ波催眠療法では、深く統合された脳波状態へと誘導していきます。
この状態は、直感やイメージが豊かに立ち上がりやすく、いわゆるチャネリングや霊的体験と語られる現象に近い脳の働きと共通点があるとも考えています。
けれど大切なのは、現象の名称ではありません。
そこに現れる言葉が、その方の人生にとって意味を持ち、癒しや前進のきっかけになるかどうかです。
その瞬間、私は「何かが降りてきた」と断定することはしません。
ただ、心の深層が安全にひらかれたとき、人は思いがけないほど大きく、優しく包み込んでくれる知恵に触れるのだと感じています。
科学の言葉でいえば、それは無意識的な統合のプロセスかもしれません。
けれど体験している本人にとっては、もっと広く、もっと温かいものとして届きます。
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ジェインズが描いた「神の声」は、完全に消えたのでしょうか。
もしかすると、それは形を変え、私たちの深い内面に溶け込んだのかもしれません。
催眠は、何かを新しく加える技法ではありません。
どちらかというと、外のざわめきを少し静めて、内側の働きに耳を澄ます時間です。
声の主が外なる神かどうか、私にはわかりません。
けれど確かなのは、そこに敵意はなく、多くの場合、その人を守り、支え、前へ進ませようとする力が働いているということです。
神様が表層からオフラインになったあとも、私たちの内側の回線は、ひっそりと息づいているのかもしれません。
その回線にそっと触れたとき、孤独な決断だと思っていたことが、実は自分の奥深くから来たのだと気づくことがあります。
でも――
その「声」は本当に内側だけのものなのでしょうか?
人は古来より、迷いの中で空を見上げ、星を読み、カードを引き、神託に耳を澄ませてきました。
もし内なる声がかすかに残っているのだとしたら、なぜ私たちは今も、外からのメッセージを求めるのでしょう。
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次回は、「無意識との対話」をテーマに、今日の旅をもう少し深めていきたいと思います。
正解のない問いを胸に、一緒に歩いていただけると幸いです。
Shiva(しば)
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▼「失われた神の声」シリーズ投稿一覧
- 第1回:神さまはオフライン? ― 「神の声が消えた日」をめぐる旅
- 第2回:催眠と「神の声」 ――内なる声と二分心の名残をめぐって
- 第3回:二分心の崩壊―「神の声」から「無意識」へ―
- 第4回:占いは心の鏡 ― 失われた声を映す、対話の仕組み
- 第5回神の声とAI―失われた神の声をめぐる旅・最終章―
次回は、二分心の崩壊―「神の声」から「無意識」へ―をお届けします。


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